中年男性が不気味な映画 おじさんはかわいくない!
近頃の若い女性は何に対しても“かわいい”を連呼しますよね。
スイーツや動物に言ったと思えば、マツコ・デラックスやおじさんにだってかわいいと言います。
そう、おじさん、つまり中年男性に対してもかわいいと言うのです。何でやねんねん!!
ということで、この映画を観れば、おじさんにかわいいなんて言えなくなるよ!という少し意地悪な気持ちを込めて2本の映画を紹介します。
・「鑑定士と顔のない依頼人」
この映画の主人公ヴァ―ジルは、自分の好きな仕事をしお金も持っている独身貴族です。しかし、女性経験はゼロです。そんな彼が広場恐怖症の若い女性クレアから、両親の遺品の鑑定を頼まれ、彼女に恋をしたことから、彼の人生は大きく変わっていきます。ジェットコースターのように上昇し、急激に下降する映画です。
ヴァ―ジルは典型的な独身貴族であり、自分の好きな仕事をしているぶん、年齢よりもだいぶ若い印象をうけます。老け込まず、シャキッとした姿には好感がもてるのです。
しかし、彼は女性経験がなく、その代わりに自分好みの女性が描いてある絵画をひたすら集め、鑑賞するのが彼の至福の時間なのです。彼女たちを眺めている姿はなんとも不気味です。そして、クレアに恋をし、その相談を彼よりだいぶ若い青年にしているところや、彼女のことをこっそりと覗いているところは何とも言えない気持ちになります。
これが青年であれば、こんな不安定な気分にはならないのですが 笑。
初めての恋が叶いイキイキとしている姿が、急に地に落とされてどう変化するのかが見どころです。
・「アメリカン・ビューティー」
こちらの映画はアカデミー賞で作品賞を受賞しています。ユーモアとシリアスのバランスが絶妙で、最初から最後まで飽きることがありません。登場人物一人一人の人格がしっかりと描かれています。
シカゴで妻と一人娘と共に暮らす人生を諦めた中年男性レスターが主人公です。娘はティーンエイジャーであり、妻は事業の成功を夢見ることで頭がいっぱいです。そんな家族とレスターは不仲でありながらもなんとか形だけは保ってきたのですが、娘の同級生に恋心を抱いたことで次第に崩れていく物語です。
「鑑定士ー」と同様に、若い女性に恋をしたことでレスターはみるみると生き返っていきます。今まで反抗することのなかった家族に逆らったり、いきなり筋トレを始める姿はまさにクレージーです。傍から見ればただただ怪しいのですが、彼自身は本当に若返り楽しそうなのです。満足そうに、にまっと笑う顔が脳裏に焼き付いて離れないこと間違いなしです。
さぁ、これら二つの作品を見てもおじさんのことをかわいいと言えますか???
決して可愛くはありませんが、中年の男性と若い女子のアンバランスな恋を不気味でありながらも面白く描いた最高の映画です