他人の姿に自分を映す

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リリーのすべて

今日は学割がきく最後の日ということで「リリーのすべて」を観てきました。

この作品でアリシア・ヴィキャンデルは、アカデミー賞の助演女優賞を獲得しました。

そして、主演はエディ・レッドメインです。「博士と彼女のセオリー」の時もそうでしたが、彼は指先の動きや目線、足先まで役作りをすることが出来る役者さんだと改めて感じました。そして何より、繊細さを表現するのが上手いのです。

内容は、世界で初めて性別適合手術を受けた夫と、それを戸惑いながらも受け入れ愛し続けた妻の物語です。

この作品は、アリシア演じるゲルダの強さと大胆さ、そしてエディ演じるリリーの繊細さと柔らかさという対極さが見どころの一つです。

そして、とても印象に残ったゲルダのセリフとして「彼(リリー)に初めてキスした時、私はまるで自分にしているようで不思議だった」という内容のものがありました。それは、ゲルダの魅力でもある芯の強さをリリーも持っていたと同時に、リリーが男として生きる中で引き出しにしまわれた女性性を、彼女が感じとったからだったのではないでしょうか。と、どこまでも深読みして様々なことを感じとれる映画です。それにしても素敵なセリフですよね。

 

男だから強く、女だからおしとやかに、といった概念は今でも根強く私たちに根付いています。また逆に、男と戦う強い女になろうと考える女性もいるのではなでしょうか。しかし、この考えも結局は、「男だから女だから」から抜け出せていないのです。世界は今、LGBTの方々に理解を示す方向へと向かっています。これから、自分の体の性別とは違う心の性別に気が付く人も増えるかもしれません。そうした時に必要になるのが、男・女という前に私たちは皆同じ人間だと理解できることです。決して簡単なことではありませんが、人類がこれから向き合わなければいけない壁だと私は思います。

 

性別の壁を越え一人の人間としてお互いに愛を与え続けた二人のストーリーは、今見るべき映画です。